歯科治療におけるマイクロスコープとは?
マイクロスコープは、口腔内の小さな治療箇所も高倍率下で直接見ることが可能な装置です。肉眼やルーペを用いた治療では見ることができなかった「CTでも判断できない細かなひびのチェック」「細い神経への介入」などを行うことができます。また、治療の様子を動画で記録することができるため、患者様へ治療の経過や様子を正確にお伝えすることができます。
PRECISE
マイクロスコープは、口腔内の小さな治療箇所も高倍率下で直接見ることが可能な装置です。肉眼やルーペを用いた治療では見ることができなかった「CTでも判断できない細かなひびのチェック」「細い神経への介入」などを行うことができます。また、治療の様子を動画で記録することができるため、患者様へ治療の経過や様子を正確にお伝えすることができます。
細かい作業が求められる口の中の治療ですが、暗くて狭く非常に見えづらいものです。しかし、マイクロスコープにより、治療精度は格段に向上し、これまでよりもさらに正確な治療が提供できるようになりました。また、今までは肉眼では見えないような小さな問題点も見つけることができ、早期に症状の改善を行うことも可能になりました。
さらに、マイクロスコープでは治療風景の撮影ができるため、症状や治療の進行などを可視化することができます。それにより、患者様と状況を共有することができ、どういう治療を行ったのか患者様へ口頭での説明だけでなく、実際の映像や画像を見ながら説明ができるようになり、そういった面でもマイクロスコープは重要だと感じています。
むし歯が重度の場合、神経を切除して歯の根っこ部分を治療する根管治療というものがあります。治療の精度が悪いと、むし歯が再発してしまい、やがて歯を抜かなければならないこともあります。
しかし、マイクロスコープを使用すれば、根の暗い部分も明るくハッキリと照らしてくれるので、精度が飛躍的にアップし、将来的な抜歯リスクを低減できます。マイクロスコープは、歯内療法をはじめとした様々な診療に圧倒的な視覚をもたらし、治療精度をあげてくれます。
当院では、インフォームドコンセントをとても大切にしています。
インフォームドコンセントとは、患者様にご提案した歯科治療の内容や方法、意味、効果、欠点、その後、治療費などについて、十分に説明し、納得と同意を得る事を言います。
マイクロスコープを使用した精密治療は、非常に精度の高い治療ですが、必ずインフォームドコンセントを経てからでないと治療に進むことは致しません。また、一度の説明では、分からないこともあるかもしれませんので、その時は遠慮なくご質問ください。しっかりとコミュニケーションをとり、患者様が本当に望む治療方法を一緒に考えていきたいと思っています。
健康で自分の天寿を全うする。それは当然誰しもが望むことです。お口は命の入り口ですが、歯を失うと満足な食事ができなくなり、バランスの良い食生活ができなくなります。たとえ、ウォーキングやジムで体を鍛えていても全身の健康は維持できず、栄養の整った食生活が基本となります。
日本人の歯を失う原因の第1位は歯周病ですが、第2位はむし歯(う蝕)です。蝕原因菌(S.mutans)が糖を分解して「酸」を作り、その酸によって歯が化学的に溶ける状態のことで、むし歯が進行すると、歯の中の歯髄(神経)にも感染し歯髄を除去しなければならなくなります。さらに、歯髄を取ると、20年後には歯を失うことになります。しかし、進行したむし歯の状態でも神経を取らずに済む方法があります。それがMTA歯髄温存療法です。
1,痛みやしみる感覚があることで、むし歯の進行を感知することができる。
2,咬みしめる感覚があるため、過度な噛み締め(過重負担)を察知し、歯の破折を防止することができる。
3,歯根の先端から神経と並走する動静脈が入り込み(歯髄腔内の動静脈の走行)、歯への水分と栄養を補給しています。これも歯の破折の防止にも繋がります。
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは、成分は建築用セメントと類似していますが、粒子を細かくし有害物質を除去したものを歯科用のセメントとして使用します。水と反応して膨張するため密封性が高く、大きなむし歯やひびが入った歯の治療へ使用します。利点としては下記の4つが挙げられます。
強アルカリ性(ph12)の性質を持ち、ほとんどの細菌(大部分の細菌はph9.5で死滅)を死滅させる事ができます。むし歯菌に感染した歯髄でも、この殺菌効果を利用する事で保存できる可能性が高まり、歯の寿命を伸ばすことができるようになりました。
一般的なセメントは硬化する際に収縮するため、隙間ができやすく細菌の繁殖スペースを残してしまい、再発リスクが高くなってしまいます。しかし、MTAセメントは硬化をしながら膨張する性質があるため、隅々まで緊密な封鎖が可能となり細菌の繁殖を抑制できます。
生体親和性が高く、歯に空けた穴を詰めたり、歯根の尖端部分を塞ぐことなどにも使用ができます。
歯科治療において完全に水分がない部位はありません。多少の水分があっても適切な処置が可能です。
01 銀歯の下にむし歯があります
02 歯髄の感染を塞ぐためにラバーダム防湿を行います
03 銀歯を除去すると深いむし歯です
04 う蝕検知液を使って感染している部位を特定します
05 感染部を取り除くと神経が見えてきました
06 MTAセメントを貼薬します
MTA歯髄温存療法 | 55,000円(税込み) |
---|
MTA歯髄温存療法 | 期間1~4週間/回数1~3回 |
---|
マイクロスコープを使用しただけでよい治療の提供に繋がるわけではありません。トレーニングや経験を積んで、マイクロスコープを使った治療のスキルを上げていくことが大切です。当院では現在、歯科医師3名と歯科衛生士3名が日本顕微鏡歯科学会に入って研鑽を積み、歯科助手もスキルの向上に努めることでチームとして高度な治療の提供を目指しています。